アパート・・・・
俺は今年卒業する。
しかし、来年からも宮崎にいる。
けれども、今のアパートは引っ越す予定だ。
これはそんなことに関するエピソード。
昨日お袋から電話が掛かってきた。
自分でわかるような用事がない時のお袋の電話はなんかどきどきする。
別に悪いことしていないのにパトカーが通ったときにどきどきするあの感じに似ている。
お袋「あんた、今暇かい?」
俺「ああ、大丈夫だよ。」
お袋「郵便物は届いたかい?」
俺「ああ、届いたよ。」
お袋「ちゃんと手続きは済ませたかい?」
俺「ああ、済ませたよ。」
お袋「あんたのアパート代いつまで払えばいいんだい?」
俺「??????」
このとき俺は頭の中でたくさんのことを思い巡らした。
アパート代払うのもしんどいくらい我が家の財政状況は悪化してしまっているのだろうか。
それとも、さすがのお袋ももう俺に愛想をつかせたのだろうか。
もしかしたら、俺の知らないところで留年が決まっていて、お袋はそれを知っているんではないか。
それとも、お袋のあんたこのままじゃ国家試験落ちてしまうよ。国家試験浪人とかしたらアパート代とか払ってもらえると思うなよ。という、見えない圧力なのか。
俺は言葉をなくして少し黙ってしまった。
すると・・・・
お袋「何黙ってんの?」
俺「いや、別に。」
お袋「いや、別に。じゃないわよ。ちゃんと質問に答えなさい。」
俺「えっと・・・・
国家試験には受かるつもりだし、卒業試験的にも留年はないと思うんだけど・・・・
なんか困ったことでもあった?」
お袋「馬鹿な子だね。」
俺「!?!?!?!?」
俺は更に頭の中をフル回転させた。
何が馬鹿な子なんだろう。
俺は考えられる全てのパターンを想定して発言したはずだ。
しかし、お袋の言葉からは俺の想定外のパターンであることが容易に伝わってきた。
考えねば。
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
お袋「ほら黙ってたらよくわかんないわよ。
来年は引っ越すんでしょ?
だから、今のアパートにいつまで家賃を払うのかを知りたいのよ。
不動産業者にも連絡しなきゃいけないし。
新しいアパートに住むって言うことは敷金やら礼金やらいろいろ必要なのよ。
ちゃんと時期がわかってないと大変でしょ。
あなたはその辺がルーズなんだから確認の電話をしたのよ。
安心しなさい。
4月まではちゃんと払ってあげるからね。
その代わり、5月からは自分の出来る範囲内でちゃんとやりくりするのよ。」
俺「うん、わかった。」
俺はお袋の電話にビビッていたことを恥ずかしく思った。
なんと愛のある言葉だろう。
お袋、なんか疑り深い子に育ってごめんなさい。
俺、ちゃんと勉強頑張って国家試験合格して立派なお医者さんになるよ。
ちゃんちゃん。